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最後に連絡を取り合ったのは、まだガラケーの時代――十年ほど前になる。
途絶えたのは、優一がスマホへの切り替え時に電話帳のバックアップを失敗してからだ。
哲郎から手紙を寄越すだろう、と思って放置し、それきり。
優一は哲郎に、「君」などと呼ばれたことは一度もない。
何だというのか、あの気取った言い回しは。
シャーロック・ホームズにでもなったつもりか。
あるいは、三十にもなって中二病を発病したのか。
哲郎が何を始めたのかなど、今さら興味がないし心底どうでもいい。
しかし、「興味があれば来い」と言っておきながら、「興味がないから行かない」という選択肢など初めから存在しないような言い草は何だ。
世に言う「かまってちゃん」に、かつての友人はなってしまったということなのか。
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