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汚物の裏面には差出人の住所が書かれていた。
特に詳しくなくても、そこがスキーで有名な土地だと思い浮かべることができる。
別荘地でもあるのだろう、と優一は憶測した。
次に目をやるのは、壁のカレンダーだ。
明日から三連休だった。
優一は、嫌なことは極力先に終わらせたいタイプの人間だった。
向かうか。
翌日、優一は新幹線とタクシーを乗り継ぎ、哲郎の住所を訪れた。
もう3か月もすれば雪化粧をしてゲレンデに生まれ変わるのだろう、そう推察できる斜面はあるが、今は9月。
今年の記録的な猛暑のせいか、避暑地としての実力が疑わしくなるほどに暑い。
優一はすでに後悔していた。
出費に酷暑、扱いきれない元友人との縁を切るために、なぜこんな目に遭っているのか。
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