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反応がないので、もう一度インターホンを押してみる。
耳を澄ますが、足音やドアの開閉音はしない。
ドアノブに手をかける。
カギが合いていて中に死体が――という展開を想像してしまうのは人の性だ。
しかし実際には、ドアは施錠されていた。
留守だ。
瞬間的に「呼び出しておいて留守とは何事だ」と腹が立ったが、気を取り直して封筒の画像を見直してみる。
消印は、およそ半年前だった。
半年間も来客に備えろというのも無理な話か。
しかし現状、手紙の返信か現地へ向かう以外に連絡を取る手段がないのだ。
手紙に電話番号なりメールアドレスなりを記載しないというのが、そもそもおかしい。
そう思うと、時間差でやはり腹が立ってきた。
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