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仕方がないので、優一は隣家に尋ねてみることにした。
「吉田さん……ねぇ。
だいぶん見てないわぁ。
半年くらい前だったかしら、春先に見かけたような気がするわねぇ」
「そうですか。
ありがとうございます、お手数をおかけしました」
お隣さんは、ちょうど庭の菜園に水やりをしていた。
ふくよかな中年女性だ。
余所者に声をかけられあからさまに不信感を募らせたが、優一がソーラーパネルのセールスでないとわかると柔和な表情になった。
「ごめんなさいねぇ。
見かけたらあなたが来たこと伝えておくからねぇ」
「すみません、あともうひとつ。
このお店ってこの辺にあったりします?」
優一はシワだらけのレシートの表を見せて尋ねた。
「どーれ?
えーっと、字が薄くって読めないねぇ」
女性は受け取ったレシートを近づけたり遠ざけたりするが、印字がすっかり色あせていて解読に手こずった。
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