20人が本棚に入れています
本棚に追加
★頂いたリュシーのFAに寄せての小話
(Side:リュシー/イラスト:あーる様)
柔らかな風が頬を撫でる。
周囲をぐるりと取り囲む木々は揺れてはいるが音はしない。
風はあるのに、凪いだ湖面は鏡のように青い空を映しているだけだった。
ああ、これは夢だと夢の中で思う。
気がつくと俺は、見覚えのある湖畔に佇んでいた。
巡らせた視界の中で、近くの木の上から数羽の鳥が飛び立った。それでもやはり音はしない。
俺は頭上を仰いだ。抜けるような青い空に雲はない。
そこにひらひらと一枚の羽根が落ちてくる。
俺は手を差し伸べそれを受け止める。
灰がかった青色の華奢な羽根が、指に触れたとたん、小さな青い鳥へと姿を変えた。
鳥は指先に止まり、物言いたげに俺を見詰めた。
俺は小さく笑みを滲ませ、その鳥を空へと放つ。
「……俺はいい」
呟いた声が、微かな羽音に紛れて消える。
リンと足首の輪が鳴った。
END
ーーーーーーー
✿あーるさま(https://estar.jp/users/147431514)に、【非日常的日常は平穏とは言えない】https://estar.jp/novels/25693473のリュシーを描いていただきました。
雑記帳(https://estar.jp/novels/25762980/viewer?page=47)にて先にご紹介させて頂いたのですが、どうしても小話をつけたくなっていたので、こちらにも。イラストを何度も拝見し、頭に浮かぶままに書いてしまったので、あーる様のイラストへの解釈とは違うところもあると思うのですが🙏💦少しでも楽しんでもらえると嬉しいです。ありがとうございました!😊💕
✿あーるさんご自身の【ファンアート集】
https://estar.jp/novels/25568477
https://estar.jp/novels/25568477/viewer?page=41
の方で語って下さってる解釈が本当に凄くて、こんなことまで汲んで貰えてるなんて……!と感激しながらこちらも何度も読ませていただきました。
本編の方は再開と言っておきながらまた止まってますが💦気長にお待ち頂けると幸いです。🙇💦
2021/05/27
最初のコメントを投稿しよう!