婚活を始めたら、龍を捕まえました

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「ねぇ、結乃(ゆの)、これ、一緒に行ってくれない?」 フロアの隅でコンビニ弁当を(つつ)きながら、(ひとみ)が言った。 私と瞳は、同期入社。他の女子社員がどんどん結婚していく中、独身で取り残された残念な2人だ。 もちろん、他に独身の同期がいないわけじゃない。けれど、それは、総合職の人たち。一般事務で独身なのは、私たちしか残っていない。 そんな状況で、瞳が見せたスマホに映っていたのは、婚活パーティーの案内だった。 「えぇ⁉︎」 私は、別にどうしても結婚したいわけじゃない。 そりゃ、総合職の人のようにバリバリ働くわけじゃないし、収入だってたかが知れてる。 それでも、幸い大手企業なので、細々と生活するのに困らない程度のお給料はもらえている。 今まで家賃の安い独身寮にいたおかげで、そこそこの貯金もある。2年後には寮を出なければいけないけど、それなりに生活はできるはず。 「お願い! 参加費用は、女性は三千円でいいの。高収入の相手を捕まえると思えば、安い投資だと思わない?」 そうかもしれないけど…… 瞳の押しに負けた私は、来週末から、一緒に婚活を始めることになってしまった。
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