序章

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序章

 箱根の街並み。お盆休みの初日だからか道がとても混んでいる。 ハンドルから手を離してあくびをする。この先どれだけの車がいるのだろう。木々の間からぽつぽつと見える小さな旅館と前の車以外は一面緑だ。まだ朝の六時だと言うのに。気の急いた人がたくさんいるものだ。  箱根なんか通らなければよかった。今更後悔しても遅い。  「はぁー。遅ぇ。」  俺は何度目かのため息を独り言と一緒に吐いた。前の車がじりじりと動き出す。やっと動ける。ハンドルを握り直した。
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