【3日目】

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 アルは音斗と同じ部屋で、ナイフを研いでいた。 「アルさんその音やめてください~」  音斗は片手で耳を塞ぎながら、アルには背を向けたまま顕微鏡をあるものに向けていた。 「音斗くんもそれやめてくれないか。特にキッチンに置くのはよしてほしいな」 「もうここには場所がないんですよー」  音斗はアルの要望を聞こうとはしない。それをアルも分かっているのか、深く溜め息を吐いて厭きれた様に首を横に振るだけだった。 「蓮見くんほんとに表情少ないなぁ。いや、少ないどころかあれは無いに等しい……ですよねアルさん!」 「そうだな」  お互いに背を向けたまま、視線は目前に落としている。  だが音斗は直ぐに席を立ち、ショーウインドウのようなものを覗き込んだ。 「……ほんと、この子たちみたい」  ぼそりとそう呟いた音斗の目は、子供を見守っているかのように、穏や かだった。
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