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「蓮見くん、思ったより表情動きませんねぇ」
音斗は先端部分が極小のピンセットを右手に、そう呟いた。
「まだ実感がないんじゃないのか?」
アルが鋏の刃の部分を研ぎながら返答する。耳に障る金属音に、音斗は僅かながら顔を顰めた。
「何から試すんですかアルさん」
音斗の手元にあったピンセットは薬液に投げられ、代わりと言うようにあらゆるサイズの瓶が置かれていた。
「うーん、そうだなぁ。暫く様子見かな」
「へぇー珍しい」
アルは新品のように鋭く光る鋏を抽斗に終った。その抽斗には、小型ナイフやカッターナイフなど、あらゆる刃物がびっしりと詰められていた。
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