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目的が分からない。
何をしたくて此処に自分を連れてきたのか、想像出来ない。
涼嘉はそれほど丈夫な体を持っているわけでもなく、何か特別な能力に長けているわけでもない。誘拐する理由がないのだ。
あまりにも不可解なので、涼嘉は自分の携帯からその理由を探ってみることにした。
もしかしたら自分が気付いていないだけで、意味深なメールなどがきていたかもしれない。
父親や祖父の、知り合いかもしれない。
様々な予想をしながら、受信されたメールを読む。
そこで涼嘉はあることに気付いた。
左上に表示される『圏外』という文字が目に映る。気付かない間に、電話やメールのサービスが断絶されていた。
電話帳や履歴などが残っているものの、それさえも無意味なほどに、連絡手段は何一つなくなっている。
涼嘉は急に無気力になり、その電源を静かに切った。
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