4-dead end

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4-dead end

 バタン、とドアが鳴り、人の気配が消える。  いつもならまだ眠っているのだが、今日はとある目的のため、早々と布団を出た。  ナイトテーブルに置かれたロールパンの大袋には見向きもせず、そっと廊下を覗き込む。やはり、昇良の姿はない。  やけに調和の取れた空間を忍び足で徘徊し、床やら天井やらを観察する。どれだけの経済力があれば、こんな家に住めるのかと純粋に感心してしまう。  見たところ、監視カメラは設置されていないようだ。 だが、安心するにはまだ早い。 玄関を出ればあとは遁走するのみだが、そこまでにどんなトラップが仕掛けられているか分からない。  十分に警戒しつつ廊下を歩くと、一寸先に広い玄関が見えた。  瞬間、脳内にバチバチと電流が散り、ナイフで刺されくずおれる自身を映す。  竦みかけた足を何とか前進させ、やっとの思いで玄関に辿り着いた。  その時、靴箱の上で何かが動いた。  恐る恐る正体を確かめる。そして、言葉を失う。  ――――カメラだ。それも、スピーカー付きの。  写真レンズは狼狽する朔斗を不気味に追いかけ、彼を見据えたまま、動きを止めた。 ≪まさか、逃げようって言うんじゃないだろうなあ?≫  突然スピーカーが音声を発し、驚きのあまり壁に背をぶつける。  紛れも無く、昇良の声だ。  スピーカーがある時点で察してはいたが、このカメラには遠隔操作機能がついている。  此処には子供もペットもいない、それなのに。  IPカメラまで用意しているなんて。  今回の犯行は計画されたものだったのだ。選定や下調べの為、随分と前から監視されていたに違いない。  ぞっと肌が粟立ち、全身が震え上がる。 ≪今から帰るから、そこで待ってろよ。少しでも動いたら……うーん、それはまた考えとくわ≫  通告は有耶無耶に終わり、その曖昧さがさらに恐怖を誘う。  一歩も動かずへたり込み、冷えた廊下の上で震えが治まらない膝を抱えた。 
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