99人が本棚に入れています
本棚に追加
真夜中、悪夢に魘されて目を覚ます。
どんな夢を見ていたのかはっきりしないが、額は汗で濡れそぼっている。
おぼろげな記憶を辿りながら腹部に触れてみると、丁寧にガーゼが貼り付けてあった。スタンガンを当てられた他の箇所にも同様の処置が施されているようだ。
一糸纏わず眠っていた体の汚れも綺麗に拭ってある。
ナイトテーブルには消毒液やタオル、そして数種類の軟膏といった備品が、いくつか用意されていた。
天井に向き直り、虚ろに一点を見つめる。
複雑な感情が渦巻く傍らで、冷静になった脳は数時間前の耐え難い呵責を遡った。
だが、思い出せるのは断片的な痛みと、『もう二度とあんな目には遭いたくない』という明確な意思だけだ。
何とか繋ぎ止めていた意識も、挿入後は切れ切れで、腹に電気を流されてからは、文字通り頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなった。
尋常じゃないショックと激痛に叫ぶ事もままならず、ただ蹂躙されるのみだった。
ふと隣を見遣ると、昇良が平穏な寝息を立てて眠っている。
思わず握った拳が布団を叩く。行き場のない怨嗟を押し殺すように、唇をきつく噛んだ。
――――いつか、いつか絶対に殺してやる。
最初のコメントを投稿しよう!