晃平とカイル

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晃平とカイル

「本当に何も闇ないの?」 「ねーよ。両親は健在だし、離婚歴とかも隠し子もねえよ。あと、実家は肉屋だ」 「大豆ミートあったけどね、肉屋なのに」 アスパラガスに豚バラ肉を巻きながら、横髪の白い赤毛の青年・海流(カイル)と言葉を交わす。 ミコトの『兄』である彼の実家は肉屋だ。 『ミートは『肉』って意味だから大豆ミートも肉』 という理由で大豆ミートも販売している『隼麻(ハヤマ)精肉店』。 その息子である海流(カイル)は10年前、ミコトを拾い、以降弟として面倒を見ている。 海流(カイル)に、暗い過去など一つもない。 だからこそ、出来ることがあるはずだ。 「……晃平(コウヘイ)」 「うにゅ?」 「守ってやるよ。……俺が」 ぱあ、と笑顔になる晃平(コウヘイ)を見て、海流(カイル)もまた笑みを浮かべた。 「……ところで魚肉も肉だから販売すべきじゃないのかなー」 「親父がガチで取り扱いかねねえから言うんじゃねえぞ」
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