6人が本棚に入れています
本棚に追加
騎士と祀樹
「……シキ、前々から疑問に思っていたのだが」
「……ラザリィス」
「何故、ハルマキは『ハルマキ』、という名なのだろうか」
「ラザリィスって日本語の発音がどこか怪しいよな」
祀樹がそう指摘すると、ラザリィスは苦笑いを浮かべた。
ラザリィスは祀樹のスプルースの瞳を深く覗き込んだ。
ある女性の頭脳を蘇らせるために産まれたクローン人間、伏見祀樹。
ラザリィスは、『個人の頭脳は、その人だけのモノだ』と考えている。
結局のところ、祀樹の頭脳は祀樹だけのモノだ、という事なのだとラザリィスは思っている。
「……なら、ラザリィスの頭脳はラザリィスだけの物だな。ラザリィスの脳を別の誰かにあげたって、それはもうラザリィスじゃない」
「……ああ」
シキのオリジナルは、どのような人物だったのだろう。
その疑問の答えを考えつつ、ラザリィスは2杯目のコーヒーをカップに注いだ。
最初のコメントを投稿しよう!