騎士と祀樹

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騎士と祀樹

「……シキ、前々から疑問に思っていたのだが」 「……ラザリィス」 「何故、ハルマキは『ハルマキ』、という名なのだろうか」 「ラザリィスって日本語の発音がどこか怪しいよな」 祀樹(シキ)がそう指摘すると、ラザリィスは苦笑いを浮かべた。 ラザリィスは祀樹(シキ)のスプルースの瞳を深く覗き込んだ。 ある女性の頭脳を蘇らせるために産まれたクローン人間、伏見祀樹(フシミ シキ)。 ラザリィスは、『個人の頭脳は、その人だけのモノだ』と考えている。 結局のところ、祀樹(シキ)の頭脳は祀樹(シキ)だけのモノだ、という事なのだとラザリィスは思っている。 「……なら、ラザリィスの頭脳はラザリィスだけの物だな。ラザリィスの脳を別の誰かにあげたって、それはもうラザリィスじゃない」 「……ああ」 シキのオリジナルは、どのような人物だったのだろう。 その疑問の答えを考えつつ、ラザリィスは2杯目のコーヒーをカップに注いだ。
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