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電脳世界の支配人
「……『見えてる』ぜ、お客さん」
『S.F』というハンドルネームでそう書き込んでから、自身の脳波で別のパソコンを操作して書き込みの主のパソコンを操作し、書き込みの主から『権限』を没収してやる。
『TREE OF DREAM』。
祀樹が作り上げたこのサイトには多くのスレが立ち上げられている。
三台目のパソコンで株の状況を見つつ、二台目のパソコンで違反者に罰を下し、一台目のパソコンでサイトを監視する。
一見大変そうに見えるが、祀樹は株関連以外は自身が作り上げたAIに任せている。
「……楽じゃねえな、監視も」
「の割には楽しそうだな」
祀樹の後ろから声がかかった。
祀樹が振り返ると、赤の短髪に、金の瞳の制服風コーデ姿の少年がスポーツドリンクのペットボトルを二本持って立っている。
「よう、帰ってたのか、ミコト」
「……あちぃ」
スポーツドリンクを一本祀樹に渡すと、ミコトと呼ばれた少年はベッドに腰掛けた。
祀樹とミコトは、『研究所』に居た頃からの仲だ。
「……楽しいか?」
「まあな。……晃平が居れば、この退屈な世界も楽しめそうだ」
「……そうか」
伏見祀樹と隼麻(はやま)ミコト。
『造られた天才』と『造られた炎』は、今日もこの退屈な世界を楽しんでいる。
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