電脳世界の支配人と悪女

1/1
前へ
/27ページ
次へ

電脳世界の支配人と悪女

「……随分世話になったな、『悪女(オリジナル)』」 伏見環恋(フシミ・ワコ)。 祀樹(シキ)のオリジナルとなった悪の天才。 祀樹(シキ)は、彼女の『後継者』として造られた。 造った者達にとっての誤算は、祀樹(シキ)が『悪人にはならなかった事』。 祀樹(シキ)晃平(コウヘイ)に出会った事。 「悪いな。……俺は晃平(コウヘイ)の敵にはならない」 人格データ等、伏見環恋(フシミ・ワコ)に関するモノが残るマイクロチップを指で弄ぶと、祀樹(シキ)はそれを黒い雷で粉々に破壊した。 恐らくまだ残っているだろうが、少なくとも『此処』にはもう無い。 「……残ってたとしても、俺が、いや……俺達が破壊するだけさ」 そう呟くと、祀樹(シキ)は煙草を一本取り出し、火を点けた。 コーヒーに似た風味と香りが、祀樹(シキ)の鼻腔を擽った。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加