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電脳世界の支配人と悪女
「……随分世話になったな、『悪女(オリジナル)』」
伏見環恋(フシミ・ワコ)。
祀樹のオリジナルとなった悪の天才。
祀樹は、彼女の『後継者』として造られた。
造った者達にとっての誤算は、祀樹が『悪人にはならなかった事』。
祀樹が晃平に出会った事。
「悪いな。……俺は晃平の敵にはならない」
人格データ等、伏見環恋に関するモノが残るマイクロチップを指で弄ぶと、祀樹はそれを黒い雷で粉々に破壊した。
恐らくまだ残っているだろうが、少なくとも『此処』にはもう無い。
「……残ってたとしても、俺が、いや……俺達が破壊するだけさ」
そう呟くと、祀樹は煙草を一本取り出し、火を点けた。
コーヒーに似た風味と香りが、祀樹の鼻腔を擽った。
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