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ロイドはこの日、フランソワと一緒に食事をしていた。
やはりフランソワは以前よりも随分と疲れきっている様子で、増税によって苦しめられているのだということは話を聞かなくとも一見明白だった。げっそりと痩せ細り、目の下にはクマが出来ている。おまけに、発せられる声からはまるで覇気が感じられない。
話しているときは必死に笑顔を見せるものの、それは無理矢理作られたものであり、目の奥は笑っていなかった。
ロイドはフランソワが気の毒でならなかった。
あくまでもこれはロイドの推測だが、アリアス国王のことだから、きっと夫人によるフランソワに対する嫌がらせの案を簡単に飲んだのだろう。
もし仮にそんな理由でここまでフランソワやガイヤ村の住民たちを苦しめているのだとしたら、決して許されることではない。
「ふ、フランソワさん?」
「……………!!!あ、申し訳ありませんわ…眠ってしまいました……ここんところ眠っていないもので…」
「フランソワさん…」
「へへへ、申し訳ありませんね…」
「………」
とにかく疲れきっているようだったので、今日のところは解散することにした。
アリアス王家の一員として、今回の悪政のせめてもの罪滅ぼしのつもりで、帰りに執事に頼んでありったけの食料をフランソワの自宅に送ってもらった。
そして翌日の昼、ロイドは異常に興奮していた。今、ソフィと夫人との昼食会がアセンブルホールにて行われている。
昼過ぎに、ロイドはアセンブルホールに行き、盗聴器を確認する予定だ。そこで、増税について何らかの情報が得られるに違いないと信じていた。
一刻も早く、手掛かりとなる情報を掴まなければ。一刻も早く、フランソワを救ってやらなければ。昨日のフランソワの様子を見るに、気長に構えていられるはずがなかった。
さあ、昼食会も終わったであろう頃、ロイドはアセンブルホールに向かった。心なしか、足取りもはやくなっている。
数分ほどでアセンブルホールに到着すると、今回は躊躇なく大きなドアを開けた。
そして直後にノックして人がいるかを確認するということさえ忘れていることに気づいたが、幸い中に人はおらず、ロイドはほっと胸をなでおろした。
(あ、あぶなかった……!落ち着こう)
気を取り直して、テーブルの下に潜り込む。
盗聴器からソフトを抜くため、一旦機械ごとテーブルから外す必要がある。
早く中身の会話が聞きたいあまりに、どうしても自然と手つきが不器用になる。なかなか取れない。そこでロイドは一旦深呼吸をして、一呼吸おいてから、作業を再開した。
すると、今度は簡単に機械を取り外すことが出来た。そしてそのままソフトを抜き取り新しいものと交換し、盗聴器を再びテーブルの裏に取りつけた。
やっと作業が終わった。そう思って安心した、その時だった。
「ロイド様!何をやっているのですか!」
「!!!!!」
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