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「良いじゃないか。じゃあ、吉田と鈴木は当日まで、みっちり桐ケ谷に知識を叩き込んでくれ。涼しい顔で良いとこ取りするジョリーに、皆で一泡吹かせてやろう」
「はい! 桐ケ谷くん、頑張ろうね」
吉田と鈴木の気合いに釣られて、玲旺も両手に力をグッと入れる。お飾りでも気を使われている訳でもなく、戦力として期待されてこの輪の中にいられる事が嬉しくてたまらなかった。
「俺は別件で席を外すが、このまま三人で練ってくれ。会議の報告書を後で頼むな」
そう言って立ち上がった久我が、玲旺の頭に手を置いて、くしゃっと髪をかき混ぜる。驚いて見上げると、久我の笑顔がそこにあった。
声には出さず「頑張れよ」と久我の唇が動いたのが解って、玲旺も笑顔を返す。会議室を後にする久我の背中を見送りながら、玲旺は自分の居場所を確かめるように、胸に手を当てて息を深く吸った。
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