第11話 格の違いを見せつけろ

6/8

2814人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
「それより、さっきの女装。お化粧もウィッグもナシで、あんなに可愛くなるから興奮しちゃった。ねえ、これが終わった後、時間取れない? 二人きりになれる場所に行こ? 明日はお休み? 朝までゆっくりできる?」  じりじりと距離を詰められ、氷雨の人差し指が玲旺の顎に触れる。 「あら、梅田君?」  商談を終えた緑川に声を掛けられ、氷雨の肩がビクッと跳ねた。 「やだ、せんせぇ。本名で呼ばないでよね」  口を尖らせた氷雨は動揺を隠すように、腰に手を当ててモデルのようなポーズをとる。 「久しぶりね。元気そうで良かったわ。また大学にも遊びにいらっしゃい。今度、講義の依頼をさせて貰うわね」 「あら、嬉しい。お待ちしてますわ」 「お知り合いだったんですか?」  旧知の仲のようにポンポンと続く会話に、玲旺は二人を見比べながら問いかけた。 「もー。キミは本当に僕に興味ないね? 僕のプロフィール見てよぉ。僕、桜華大を優秀な成績で卒業したんだから」  本当だよ? と言いながら、さりげなく玲旺の髪を撫でる。首を傾けて避けながら、玲旺は「凄いですね」と抑揚のない声で褒めた。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2814人が本棚に入れています
本棚に追加