それは通り雨のような

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 最近トキメキが、ない。  健全な女子高生がこんなんでいいのだろうか。 「ああ、枯れてる」  机に突っ伏して思わず呟いた。 「弥生? 何が枯れてるの?」 「心が」 「変な子だね」  前の席の友人、樋口紗里奈が笑ってる。 「だって、高2だよ? 修学旅行だってある年だよ? なのに、ラブがないなんて」 「私も恋人いないけど?」 「でも、紗里奈は恋してるじゃん」 「恋してなきゃ充実してないの?」  紗里奈の言葉に私は少し黙る。 「そんなことはない、けど」  普通に学校行事も楽しんでる。部活の吹奏楽も忙しすぎるくらいだ。 「じゃあ、いいんじゃ? 好きな人なんて突然できるものだし、探してできるものじゃないよ」 「はあ〜。まあ、そうかあ」  私は納得したようなしないような気持ちで頷いて、再び机に突っ伏した。
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