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部屋に戻ると、扇子を丁寧に拭いているアギルの横に、見慣れない人が一人。
「おかえりなさぁい。洋服は外のカゴに出しておいてください。宿の人が洗ってくれますから。パンツも!」
テオとカゴに服を入れる時に、パンツは抵抗あると言いながら入れると、「もっといいパンツ履いてくればよかった」と言うので、カゴの中を見る。
黒地に黄色い星柄……
「見るんじゃねーよ!俺の趣味じゃねー!」
「いや、だって……部屋も星柄だし」
「このパンツもアギルさんから貰ったやつだ!」
そこまで言われたら、先に入っているアギルの洗濯物が気になり、そっと服をどけると、紺色にピンクのハート柄のパンツ。
「すまん、テオ……」
「アギルさんの趣味がわかんねー!」
肩を落として部屋に戻ると、警護の人が「マルコと言います。ランクはSS。よろしく」と言ってきたので、こちらもよろしくお願いしますと頭を下げる。が……ニヤニヤしているアギルを見ると、また何か隠しているようで、鼻歌まで歌う始末。
「悠一、なんかおかしくないか?」
「俺もそう思う……」
コソコソと話していると、「うっ」と声が聞こえたので、リヒトのところに駆け寄ると、「アギル、何でマルコなんですか!彼は今任務中の筈です」と苦しそうに言うので、桶でタオルを濡らして汗を拭く。
「リヒトさーん、もうすぐお迎えきますから寝ててくださいよぉ。マルコで我々の警護は十分でしょう?一人で十人分は働きますから」
「十人分て、ブラックかよ!それに、リヒトさんはまだ動かせないんじゃないのか?」
「悠一君、心配はノンノーン!マルコは私達の弟なので気にしないでくださーい」
「はい?」
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