#9 温泉

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「今、弟って……」 扇子を拭いて満足したのか、「そろそろ時間なので、リヒトさん退けてください」と馬鹿なことを言い出す。 別に動かさなくても部屋の広さはあるだろうと思っていたら、「兄上、失礼」とマルコが布団ごと引き摺って隅に追いやり、桶なども枕元に移動させる。 この兄弟、労るということをしらないのか? 「リヒトさーん、水飲めます?まだ起きない方がいいと思うので、テオ君、水差しで飲ませてあげてくださいー」 「自分で……出来る」 無理やり起きようとするので、背中を支えて起こし、水をグラスに入れて渡すと、力が入らないのか、手が震えている。 手を添えて飲むのを手伝うと、「あの子たちにバカにされるのは嫌ですから」と言うので、アギルとマルコのどちらが上なのかを聞く。
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