死神界と人間界と天の世界

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自由に使っていいと部屋に案内され、まずはリヒトの様子を見に行く。 「リヒトさん……」 「大丈夫ですよ、テオさん。三住さんもそんなに心配しないでください。医者の話ですとすぐに動けるようになりますから。それより訓練校の事ですが、私もこんな状態ですし、ご自宅とこの部屋を繋げることにします。しばらくの間、アギルも忙しくなると思うので、テオさんと一緒にここに通って下さい」 「いや、でも……」 「これでも、教鞭をとったことはありますし、寝てばかりというのもどうかと思いまして。そうですね、雑用と言う形でしたらどうです?」 「分かりました。でも、無理してると思ったらちゃんと寝てもらいますけど」 「家の者にも、アギルにも言っておきます。あぁ、アギルが食材と言ったらすぐに逃げる事。これは守ってください」  逃げるのが食材からだけなのは助かるのだが、痛々しい姿を見ると本当に来ても大丈夫なのか、やはり心配にはなってしまう。  一旦用意された部屋に戻ると、「明日から地獄の授業だな」とテオが言うので、学校の勉強より難しいのなら無理だと笑っていると、「失礼いたします」と本が大量に運ばれてくる。 「読むときにバッジ触りながらだと読みにくいだろ? 肌に当たっていればいいから、ペンダントのチェーンにでもバッジをつけて、肌に当てておくといい」 「服の中に入れておけばいいって事?」 「俺は、他国語を覚える時にしてたが、以外と便利だった」  明日までに用意できればいいのだがと思っていると、鞄から「俺が昔使ってたやつならあるけど」と、テオが渡してくれたのでありがたく借りることにし、チェーンの細い穴に当てるとぴったりと嵌る。どのような仕組みになっているのかはテオにも分からないらしいが、ちょっと便利と思ってしまった。
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