死神界と人間界と天の世界

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 アギルに促され、扉を開けて通るといつもの古びた古本屋。  二階の住居の方に行くと、「温泉はまたゆっくりと行きましょうねぇ」と荷物を雑にテーブルに置いていつもの席に座り、「まだ十七時なので少し話をしておきましょうかぁ。  テオくーん、コーヒー淹れてくださいー。僕、微糖がいいですぅ」と早速こき使うのにも関わらず、テオはもう慣れたとばかりにコーヒーメーカーで作り始め、部屋に珈琲の良い香りが漂う。 「悠一君も座ってくださいー。あ、砂糖とミルクどうしますぅ?」 「砂糖とミルク両方で。それより、逃げるために温泉に行って、リヒトさんが怪我してって物事が進みすぎ居てるような気がするのは俺だけか? まるでアニメでも見てる気分なんだけど」 「ですよねぇ……僕もびっくりしてますけど、まだ何もわかっていません。出来ることはしてあります。お母様も安全ですし、調査も信頼できる部隊に任せてきました。今、僕たちに出来ることはいつもの仕事と、こちらでの調査。これは僕とテオ君でします。悠一君はリヒトさんと色々勉強していてください」 「まぁ、知りたいことは沢山あるけど……」  テオが入れてくれた珈琲を飲みながら、明日はいつもの時間にここに来ればいい事。持ち物は今バッグに入っているまま持って行けばいいことなどと聞き、着替えはいらないだろう? と時折突っ込みながら、テオに食料調達頑張れ! とだけ言って自宅に帰る。  久しぶりに家に帰ってきた感じはあるのだが、一泊しただけで日にちなどの時間感覚は向こうと変わらないんだなと時計を見て、ベッドに寝ころんでいるうちに眠ってしまい朝を迎える。
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