死神界と人間界と天の世界

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考え事をするときのリヒトの癖なのだろう。あ、怒るときも同じことをしていたが。 「この本にはこの世界の地図が入っている筈なんです」と本も見せてくれと言われたので渡すと、しばらく見た後に「これ預かりますね」と車椅子の横に置く。  続きの話をしてくれと、他にも気になっている事を話すと、テオやアギルが話したことは聞いているとのことで、一つずつ教えてくれるという。 「まず、言葉の事ですが、こればかりはまだ何もわかりません。ただ、この地図での中心に三住さんのご自宅があるので、何らかの影響があったのか……でもそう考えると、天界の影響もある筈なんです」 「それは、言葉が分かるという事も関係あるとか?」 「あるかもしれません。これについても今調べています」  他にもこの世界の住人の話を聞くと、自分の住んでいる所とあまり変わらない事が分かった。  今まで自分が普通に暮らしてきたように、こちらでの一般の人の生活は変わらない。自分たちと違うところと言えば、『死神の仕事』という、警察で言うところの特殊な部署があると思えばいいとのこと。 言われてしまえば、なるほどと思わないわけではなかったが、自分に関する事については分からないことが多すぎて、今はどうしようもない事だけの収穫。 「あぁ、アギルも言っていたと思いますが、私たちは悪魔ではありませんから」 「神だって聞いたけど、あの鎌でイメージが」 「確かに。アギルは特に大きな鎌を持ってますからね。あの扇子からよくあんな大きなものに変わると思いますよ? 見ましたよね?」  一度魚を捕りにつれていかれた時に見はしたが、こちらではまだ一度も見てはいない。テオが教えてくれた、人間界に来る時には力を抑えて来ているというので、本当の大きさはどのくらいなんだろう? と考えていると、「アギルのあの鎌は三住さんが見たという大きを聞く限り、ただ出しただけの鎌でしょうね。私も父とマルコと一緒に一度だけ本気の力を見ましたが、あんな馬鹿デカいのを振り回せるのは馬鹿アギルぐらいでしょう。力自慢のマルコでも使いこなせないと思います」  馬鹿を連呼しているが、否定できないものは仕方がない。
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