死神界と人間界と天の世界

7/35
前へ
/173ページ
次へ
「俺の剣は伸縮して凄く細いんだけど」 「形は人それぞれです。テオ君は遠中距離と思われがちなのですが、接近戦にも長けている万能型で、頭の回転も速い。本人は違うと言っていますが、彼は周りの状況把握が早いので、いずれは特殊部隊に引き抜かれると思っています」  そんなテオでも、最初は形が安定せずにかなり苦労したと聞き、少し安心する。  いや、ちょっと待て? そもそも俺は死神になるなんて一言も…… 「さて、今三住さんが考えている事は顔を見ればわかります。話がかなり脱線しましたが、三住さんは人は魂になるとどうなると思います?」  素直に答えていいものだろうか? と思いながらも。「三途の川を渡って、閻魔大王の所で天国に行くか、地獄に行くか決めると思ってたけど」 「あはははは。普通はそう考えるでしょうね。仕組みとしては、我々は魂の回収を行います。それは、知っていますね?」 「はい」 「私たち死神は、住む場所が違うだけで天界の仕事をしています」 「はぁぁぁ?」  天使と言えば、背中に羽が生えていて、頭には天使の輪。白い服を着ていて周りはお花畑……。そんなイメージがあったのに、真っ黒な服を着ていて天界の仕事と聞いても、悪魔の仕事のがぴったりくるのは俺だけだろうか?  でも、リヒトを見るとお茶をどうぞと勧めてくれたので、グラスの紅茶を一気に飲み干し、思ったままの事を言う。 「三住さんは面白いですね。アギルが興味を持ったのが分かりました。確かに我々に羽はありませんが、だとすれば誰が魂の回収をすると思います?」  そう聞かれると、今まで三途の川と思っていただけに、答えに困る。 「そうですね。ちょっと散歩がてらに、こちらの魂の書庫と呼ばれるところに行きましょうか」 「入れるんですか?」 「大丈夫です。では押してください」  真面目なのにちょっと意地悪っぽく笑うようになったリヒトを見ると、やはり兄弟だなと思う事がいくつかある。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加