死神界と人間界と天の世界

8/35
前へ
/173ページ
次へ
 性格の違いはあるが、いたずらするようなときの笑いかたがそっくりだ!  家の方に戻るのかと思ったら普通に車庫に着き、肩を貸してくれと言われたので車に乗るのを手伝って自分も後部座席に乗る。 「車あったんですね」 「あります。ここからですと車の方が早いんですよ。街では電車やバス、見たと思いますが各々の能力のように空からのが早いですが」 三十分ほど車で移動すると見た事のあるビルが見え、その地下駐車場で降りて車椅子を押す。が……「腕なら歩けるんじゃ」とリヒトを見る。 「そうなんですよ。でも体力がまだ戻っていないのでもう少しこの状態で過ごさないとだめだそうです」 「大丈夫ですか? 移動とか本当はだめんじゃ」 「体を動かすわけではないですし、三住さんは見た方が覚えやすい方だと思いまして。あ、エレベーター乗ってください」  言われた回数を押して、目の前にある扉を開けると天井まである壁一面の本棚に、長い梯子。忙しく働いている人は本を出したり仕舞ったりしていて、その中にはイメージ通りの金の長い髪の人たちが沢山いる。 「すげぇ」 「でしょう? ここにはほぼすべての人の記録があります」 「記録って、薄い本もあれば分厚い本もあるけど、まさか一人一人とかじゃないですよね?」 「一人一人です」 「まさか」  これをと一冊の本を渡されて見ると、見たことのない文字だったがバッジのおかげで読める。読めるのだが、書いてあるタイトルは本の名前ではなく人の名前……しかも俺の!  ページを捲ると、生まれた時から初めてご飯を食べた日、けがや病気をした日まで事細かに書いてあり、しかも最後のお漏らしの日までしっかりと! 更には初恋の日と相手の名前まで。よく見ると、何時何分に何をしたなど事細かに書いてあり、つい出た言葉が「ストーカーみたい」だった。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加