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「じゃぁ、あれは何だったんだ? 意思を持つとか持たないとか聞いたけど」
「まず、この書庫で行われているのは、魂の記録と回収記録。この二つが行われている場所とだけ覚えてください。透明の支柱部分から書庫ではありません。魂の選別部門。最後に保管庫。ここで働いているのは、死神界の者だけではないのは見ての通りです。天界から仕事に来ている方もいます」
「どうやって?」
「分かりにくいと思いますがこの場所だけはどちらからも来られる扉があります。……とだけ教えておきますね」
意味深だなと思いながらも、思い出されるのは何度か見た気持ちの悪い黒い集団。
だが、これを見てもやはり神とか、天界の仕事とか意味が分からない。
「明日、遅刻しないでください。学校でしている事をお見せする事にしましょう」
また車に乗って戻り、大きな扉から古本屋に帰った時には夕方になっていた。
「ただい……ま。何やってんの?」
汗だくのテオに聞くまでもなく、脚立に乗ってエアコン掃除。
真夏のくそ暑い中、扇風機もつけずに何をやっているんだか。
「アギルは?」と聞きながら近くにあった扇風機のスイッチを押すと、悲しいほどに回らない羽。
「今、食材捕りに行ってる。ここ暑いだろ? 扇風機は役に立たないし、エアコンは見た目は新しそうなのに、付けたら埃と匂いが凄くて」
下に置いてあるバケツの水も雑巾も真っ黒で、テオの顔も手も黒い。
水道で雑巾を洗い水を変えてきて、テオに綺麗なタオルを渡して「変わろうか?」と聞くと、もうフィルターを付けるだけだとの事だったので、周りの拭き掃除を始める。
この店で綺麗なところってどこなんだろう?
「よし、これで涼しい風が出なかったら、俺自腹で扇風機買う!」
そう言って冷房のボタンを押し、更に急速のボタンまで押すテオ。
「音がしないけど」
「分解はしてねーぞ! 付け!」
しばらくして、ブーンとモーターの鳴る音がして、出てきた風は冷風。
「やった!」
今までエアコンがあるなんて、全然涼しくなかったので考えもしなかったが、アギルの面倒くさがりな性格からすると、エアコンが効かなくなったから直すとか掃除をするとか考えもしなかったのだろう。
「テオ、とりあえず風呂に入って来いよ。片付けは俺がしておくから」
「悪いな」
テオが風呂に入っている間に掃除を終わらせて片付け、冷蔵庫から麦茶と書いてあるお茶ポットを出してグラスに注ぐ。
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