死神界と人間界と天の世界

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 戻ってきて夕方だと気づいたんだから仕方ないのだが、そんなに時間は経っていないように感じた。その事を言うと、書庫に行くとみんな時間感覚がおかしくなるから仕方ないと言われ、夕食はなんだろうと覗き込む。 「今日はですねぇ、なんと! 冷やし中華です!」 「普通じゃん」 「ノンノーン! 卵は産みたて。小麦は収穫から行ってきて麺まで打って来たんですよ? しかもきくらげにもやしにハムと具沢山!」 「まさか、それも取って来たとか?」 「いえ、もやしとハムはスーパーの特売です。きくらげは頂きましたが」  どこまで行ってきたんだよと聞く前に、「じゃじゃーん」と大盛りで出されてしまったら文句は言いにくい。 「さぁ、召し上がれぇー」  ニコニコして見てくるので、テオといただきますと一口。 「麺がもっちもち」 「美味い」 「でしょでしょう? 黄金に輝く麺に錦糸卵。シャキシャキのもやしにコリコリと歯ごたえの良いきくらげ。そしてすべてを包み込む酢醤油とのハーーーーーモニィィィーーー! で・り・しゃぁー・っす」  相変わらず凄い食事の褒め方だなと思いつつ大盛り冷やし中華を食べ終え、美味しかったーとアギルがゴロゴロしだしたので、「食器洗っておくから、テオも今日はゆっくりしろよ」と言うと、「じゃぁ、食器洗い頼む。もうすぐ十九時になるから俺は見回りに出てくる」 「気を付けてぇ」というアギルに、一人で行かせていいのかと聞くと、見に行く場所には他にも人が居るとのことだったので洗った食器を拭いて仕舞い、今日見た書庫の事を聞く。
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