死神界と人間界と天の世界

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「あそこの時間感覚は、そんな感じがするぐらい皆さんの動きがゆっくりでしょう? なので、外と中の時間の感覚がおかしく思うだけで、時間が早くなったりするわけではありません」 「他にも見て回ったんだけど、話を聞くと理解は出来ても信じられないというか」 「それは仕方ないですよぉ。だって、悠一君は人間なんですから。明日はちゃんとご飯食べてくださいね。あ、リヒトさんの食事の世話もお願いしますぅ」  そう言ってからすぐに寝息が聞こえてきたので、何もやる事が無いからと自宅に戻り寝るまでゲームをして過ごした。 翌朝は遅刻もせずにちゃんと付き、行く時にアギルに渡された書類と手紙をリヒトに渡す。 「自分で持ってくるように言っておいてください。こんなに溜めてしまうと私の仕事が増えるから嫌なんですよ」  ぶつぶつと言いながら、本を読んで待っているように言われたので、分かる部分だけ読みながらリヒトを見ると、片腕が使えないのに書類にバンバン判を押している。その半分ほどがやり直しなので持って帰るように言われたのだが…… 「本人に書くように言って下さい。テオさんが調べて書いたのでしょうが、幾つか抜けている所はアギルにしか分からないと思うので。それと、昨日はお昼抜きですいませんでした」 「いえ、俺もお昼過ぎてるとか気がつかなくて」 「三住さん、今日は訓練校に行こうと思うんですが、見るだけではなく少し授業受けてみませんか?」   前に見た建物の前に着くと、遠くから見ていたのとは違いかなり広い敷地の中に建物が二つ。一つは校舎、裏の方の建物は寮だとのことだった。  面白いと思ったのは学校の周りの地形。  山一つ分くり抜いたような形をしていて、まるで森に囲まれているように見える。 「前に街から見た時には校舎が見えてたけど、この地形じゃ見えるはずないですよね? 街から見えていた建物は?」 「ああ、それならダミーですよ。四方から見ても同じように見えるように(まじな)いが掛けてあるんです」
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