死神界と人間界と天の世界

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 さっと人が動き、カーテンが閉められると同時に黒板の前に映像が映し出される。 「え? アギル……と、王様?」  映し出されているのはこの間会ったアギルのお父さん……王様と、綺麗な女の人。そして五人の子供。  でも、アギルの家での食事にはリヒトさんと王様、アギルしかいなかった。その後にマルコと言う弟が居る事は分かったが、他にも兄弟が居たんだ。 「えー、お妃であるアネット様の死は公開されてはいませんが、四男ルイ様、御長女のミラ様は鎮魂中の戦死と公開されており、今活躍中の……」  まさか他にも弟妹が居て、しかも戦死だなんてきっとアギルや他のみんなも悲しい思いをしただろう。  その後は特殊部隊についてなど仕事の話に切り替わり、リヒトが迎えに来た時には目を合わせられなかった。 「何食べますか? ここの食堂の食事は結構美味しいんです」 「えっと、じゃぁ焼肉定食で」  すぐに出された定食のお盆を持って窓際の席に着き、いただきますと箸を付ける。 「どうでしたか? 授業の方は」 「自分の学校と全然違うなって。休み時間もないし、お昼までぶっ通しで驚いたのと……その、最後の方でリヒトさんの家族の話が……」 「あのクラスは基本的な事を学ぶのにいいクラスです。教授の話も面白いですし。家(うち)の家族の話、歴史の話も出て来たでしょうが、ここで教えている弟と妹の事は戦死という事になっていますが実際はちょっと違います」 「お母さんは?」 「公開はしていませんが病死です」
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