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その後の訓練は実践に近い形で、人型の人形を相手に武器を持ち攻撃していくとのこと。しかも持っているのは懐かしい警棒!
それでも先生が次々と出していく人形を倒していく生徒なのだが、二人一組のチームなのに、一人だけ相棒を放置していかにも戦うのが好きと言った顔で武器を振り回しているのが一人。
しかも、他の生徒は授業で習った動きが少しだけ自分流になっているようだが、彼だけは何かが違う。その事をリヒトに聞こうとしたら、「危ない!」と声が聞こえ、振り向くと警棒が自分とリヒトに向かって飛んでくる。
パチン——
指を鳴らす音が聞こえた瞬間警棒が粉々になり、リヒトの眉間に皺が寄る。
「申し訳ございません!」
訓練の先生がすぐに来て腰を九十度に折り謝罪する。
「構いません。それより彼ですが……」
「すぐに連れてまいります」
走って行ってしまったので、その間にリヒトに先ほど思ったことを聞く。
「確かに彼は強いです。ですが、三年生にもなって基本の連携が取れない、他の味方の生徒のフォローにも行かない等、かなり自己中心的なようですね……三住さんとテオさんの最初の闘いの記録は報告書で読みました。初めてにしては連携が……あ、来ましたね」
「連れてまいりました。ほら、謝罪しなさい」
「そんな所に居るのが悪いんだろ? 邪魔だから投げただけだ」
「それは、私たちが座っているのを知っていて投げたのですか?」
「そうだ。それに、リヒト様だと分かったから投げた」
なんて勝手な言い草だ! しかもリヒトを知っていると言っているが、今は車椅子。怪我したらどうするつもりだったんだ! それを言おうとしたら、「俺と戦え」とバカな事を言っている。
「俺は他のやつらと違って強い。なのに落第ばかりで卒業できない。ここでアンタに勝てたら先生たちも俺を認めざるを得ないだろ?」
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