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うわぁ、俺様。アギルも我儘な方だと思うが、我儘の種類が違いすぎる。
ちょっと待て! 勝てるわけがないだろう!
「では、ルールは……私が人形を出します。全部で百体。勿論二人一組で一番多く倒した方の勝ち。二人ともそれぞれ相棒を見つけてください。公平に私は君たち、先生は三住さんの方の数を数えます」
「リヒトさん、相棒って言っても俺、ここに知り合い居ないし」
「見学していた時に気になった生徒でいいですよ」
先生も好きな生徒を選んでいいと言っていたので、見ていた時の事を思い出し、「青いジャージのあの人」と指をさす。
相手は適当に選んだのか、嫌がる生徒を引っ張ってきていつでもOKと言った感じ。
「三住さん、これ警棒です。形は変えない事。連携に関しては二組とも五分間で話し合って下さい」
そう言われたので、少し離れたところで選んだ生徒にまず謝罪をする。
「ごめんな。なんか巻き込んじゃって」
「いや、いいんだけど、どうして俺?」
「見学してた時に、他の生徒も助けながら上手く人形捌いてたし、落ち着いてるなって思ったからかな。俺は殆ど戦った事が無いから、補助的に行きたいんだけど」
「分かった。あの人形の弱点は胸。蹴り飛ばすだけじゃ消えないから、三住君が俺に回してくれたら仕留める感じでどうかな? 勿論、狙える時には倒して欲しいけど」
「頑張るよ。他に覚えておくことはない?」
「そうだな……まぁ、やってみたら面白いものも見れるかもって事だけ。勝ったら俺、リヒトさんと握手したい!」
それは聞いてみないとと言って握手し、こちらの準備は万端。
残りの生徒は見学と言う形になり、みんなが体育座りをして端の方に寄っている。
赤組が相手、自分たちが青組と言われてすぐ「始め!」と声が掛かる。
ピッという笛の音とともに現れる人型の人形。
百体とは言っていたが、実際に目の前に出てくると座ってみていたよりもデカい。
「これ、試験の時用のやつかも。さっきのやつよりも硬くてすばしっこいんだ」
「何とかなる?」
「アドバイスするなら、思いっきり殴れって事かな」
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