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先生もうんうんと頷くだけで何も言わないので、ちらりと見ると肩で息はしているものの、目つきはさらに鋭くなっているような気もする。
それを感じ取ったのか、「そろそろ失礼しましょうか」と言うので車椅子の取っ手に手をかけた時、パチンと指を鳴らす音が聞こえ「君、そんなに私を怒らせたいんですか?」と眼鏡を触っているので、表情は見えないものの、かなり怒っているのだろう。
「先生、運動場に五百体、試験よりも大きく一番強い人形を出してください」
そう言って車椅子から立ち、運動場の真ん中まで行くリヒト。
「あの、リヒトさんまだ怪我が治ってないんです。やめてもらえませんか?」
先生に頼んでみるものの、「大丈夫でしょう」と言ってリヒトの周りに人形が現れだす。
五百とは頭で数は分かるものの、実際に目の前にするとリヒトがどこに居るのか既に姿は見えず心配になるが、「始め」の声が掛かった瞬間、何の音もしていないのに全ての人形が霧散する。
「終わりました」
こちらに歩いてくるリヒトは少し先生と話をした後、「さ、帰宅しましょうか」と車椅子に腰を掛けるので、そのまま門まで行き車に乗り込んで家まで戻る。
「ちょっと休憩してから戻ると良いです。学校はどうでしたか?」
「どうって、最後のあれ……五百体を一瞬でどうやったんですか?」
「簡単に言いますと、指を鳴らしただけです」
指を鳴らすだけで霧散するぐらい簡単に消せるのがSSの能力ならば、SSSのアギルはもっと凄いという事なんだろうか?
紅茶を飲んでいくつか質問した後に、いつもの入り口からアギルの古書堂に戻る。
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