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「おっかえりなさーーーい。今夜はですねぇ……」
「餃子?」
「匂いがするからって先に言わないでくださいよぉ」
拗ねるアギルに、持って帰って来たやり直しの書類を渡すと、嫌そうな顔をしながらため息をつき、「テオくーん、書類が……」「自分で直してください!」
二階から降りてきたテオは、今日は何をやらされたのか分かるほど不機嫌。
しかもエプロンにお玉を持って。
「焼くのはアギルさんがしてくださいよ。他はもう盛り付けましたから」
手洗いうがいをしたら来てくれと言われたので、顔も洗ってお茶を入れ、ダイニングで今日の学校での出来事を話す。
「でさ、指パッチンで全部消えたんだよ。アギルも出来る?」
「出来ますけど、相当リヒトさん怒ってたんでしょうねぇ。僕なら無視しますけど。学校の人形程度でしたら、校庭にぎっしりイモ洗い状態で人形が詰まっていても、リヒトさんなら一睨みで霧散するでしょうねぇ。一種の気を指を鳴らすことで強化した……と言えば分かり易いですか?」
「わかんねぇ」
「俺は分かる」
「まぁまぁ、運動もしたんですからたーんと食べてください。今日はエビチリに炒飯、餃子ですぅ。餃子は三種類で、野菜餃子・キムチ餃子・チーズ餃子で……」
説明を途中で遮り、チーズ餃子を一口。
「美味い。しかも肉汁も凄くてチーズが合う。デリシャスだぁぁぁ」
「そ、それ、僕のセリフ」
しょんぼりするアギルをよそに、夕食をペロッと食べて、麦茶を飲んでソファに寝そべった瞬間眠ってしまう。
「疲れたでしょうねぇ、初めての戦闘訓練は」
気づいたら部屋で寝ていて、テオかアギルが送ってくれたんだろうと思い、三日目の準備をして家を出る。
今日は何をするんだろう?
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