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「おはようございます」
「おはようございます。二日間こちらに来ていて疲れたでしょう? 今日はゆっくりしましょう。この死神界の事で他に知りたいことはありませんか?」
「授業にも出させてもらったし、今のところは特に……」
「そうですか。では、本題に入りましょうか」
「本題?」
リヒトの話によると、元々死神界について理解してもらいたいのが一つ。俺を正式に死神……アギルの補助要員として、魂の回収などの仕事も正式にさせることが一つ。今起きている現象についての調査が進むまで人間界から引き離しておくこと。この三つが目的だったという。
「ちょっと待ってくれ。俺は人間で、あの汚い本屋のバイト! 死神の仕事なんて出来るわけないじゃないか」
「そんな事はありません。学校での運動場での身体能力は、バスケットをやっていたのもあるかもしれませんがちょっと人離れしています。テオさんまではいきませんが、二人ならいいコンビになると思います。それに、王が渡した短剣。その意味は死神として十分素質があり、期待しているという事です」
「そんなこと言われても……少し、考えさせてほしい……です」
いきなりではないが、アギルとテオと一緒に死神の仕事はしたことはない。むしろ、変な場所に行かされて、食材を取りに行く事ばかりで変なもの、まともに黒い集団に出くわしたのも一回だけ。
なのに、俺がそんな仕事なんて出来るわけがない……
「あー、いたいた。リヒトさーん、今日は何もしないんですかぁ?」
「いきなり何ですか。一通りはこの世界の事を教えましたから、今日はゆっくりしようという事になりまして」
「じゃぁ、悠一君借りますねぇ」
腕を引かれ、リヒトにお礼を言う間もなくいつもの古本屋の隠し部屋の中。
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