死神界と人間界と天の世界

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「行くぞ」  着いた場所はミカン畑ならぬびわ畑。 「おおー、何かぶどうみたいに生ってる」 「これ、木の枝ごと切ったらだめか?」 「それは駄目なんじゃない?」  テオが出した籠は小ぶりながらも沢山はいるようで、籠いっぱいに捕ったものを持って古書堂に戻る。 「おや、早かったですねぇ」  すでに戻っていたアギルがアユとびわを見て満足そうに、「僕はニンニクにししとう、大葉に茗荷、そしてズッキーニをいただいてきましたぁ」 「貰った……だと?」 「ええ。いくつか回っても農家さんから」  ズルイと言いながらも、またお楽しみにとでも言われるのだろうと、一階に戻り店の掃除をしてしまう。元々、これが俺のバイトのはずなのに。 「なぁ、あのUSB気にならないか?」 「見たらまずいだろう?」 「俺の部屋に隠してたやつだし!」  テオに出せと言ってひったくったのはいいものの、肝心のパソコンが埃だらけ。 「これ、動くのかな」  誇りを払って固く絞った布で拭き、一応綺麗にはしたが電源が入るのかも謎。  延長コードに電源をさしてしばらく待ってから電源を入れると、ウィーンとモーター音が鳴った後に画面に可愛いうさぎが映る。 「パスワード、何だと思う?」 「知るか!」  何か言っていなかったか? と聞くと、しばらく悩んだ後に「夜中の死神番組のアイドルが可愛いって言ってたが……」と眉間に皺。  その名前を聞き、『マイマイSSS』と入れるとパッと画面が変わり、その好きなアイドルであろう女の子がトップ画。 「死神界にもアイドル居るんだ」 「まぁ、テレビもあるし、最近はこちらに似たものも増えて来てるが」と顔を背ける。  よく見るとまだ中学生くらいの女の子で、どことなくテオに似て……「あーーーーーっ! まさか妹……とか?」 「言うな! 俺は反対したんだ。あんな短いスカートをはいて踊るんだぞ? しかも写真集まで出しやがって! 誰に見られてるかもわからねーってのに!」  顔を真っ赤にしているテオは余計にマイマイに似ているなと思ってからかっていると、「サッサと見ないと飯だって呼ばれるぞ」 「はいはーい」  USBを差して読み込むと、少し時間はかかったものの色んなデータが出てくる。  その中に極秘と書いてあるものを見つけてテオと覗き込む。 「そんなバカな! 二百年は経ってるのに、ミラ様とルイ様が生きてるなんてある筈がない!」 「俺も聞いたのは任務中にって事ぐらいだけど、これが本当なら……」  その後も気になる情報を見てパソコンを閉じ、明日USBを持ってくるからこれをコピーすると言って、上から聞こえてくるアギルに返事をしてパソコンを閉じる。
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