死神界と人間界と天の世界

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二階に行くと、テーブルの上にはあゆの塩焼き、何かのチーズの乗ったものに天ぷら。オーブンからは甘い匂いがしている。 「これは、ズッキーニのチーズ焼き。天ぷらは、この前の残りの蟹と、大葉にししとう、茗荷です。にんにくは素揚げで爆弾にしましたぁ。それと、オーブンの中はびわのタルトですぅ。焼けるまでもう少し待っててくださいね」 「このそうめんは?」 「細かく刻んだ大葉と茗荷で食べてください。ほらほらぁ、遠慮しないでぇぇぇ」と言っている側から食べ始めるアギル。  いつも思うのだが、エプロンを取ってから食べてくれ! 「んんんんんんんんー。やはり旬の物はおいしいですねぇ」 「夏はゴーヤのイメージなんだけど」 「ノンノーン。それは良く食べられる食材でしょう?」 「大葉とかニンニクも良く食べるけど」 「でも、旬は今なんですよぉー。あゆは小ぶりながらも身が引き締まっていて美味しいですねぇ」  ピーピーピー 「焼きあがりましたぁ。びわのタルトですぅ。ジャムでも良かったんですけど、びわはあまり香りがしないのでジャム向きではないんですよねぇ。食べ終わる頃には冷めるので、ほら、早く食べちゃってください」  言われなくても食べると言わんばかりに天ぷらに箸を伸ばすと、さくっとした触感で香りもいい。あゆはサッパリしているので天ぷらで重くなるかなと思っていたが、そうめんも全部平らげて、甘い香りのタルトに手を伸ばす。 「あっまーい。大きめにびわを切って正解でした。はぁぁぁぁ。で・り・しゃーーーーすぅ」  デリシャスと言うという事は、今回のお目当てはびわだったのだろうと思い、一つ口の中に放り込むと、ふわっと口の中から鼻腔に香りが抜け何とも言えない美味しさ。  小さめの物を二つ食べてから、恒例の片付け。  アギルはいつも食べた後に寝転ぶので、いつか太るぞ! と思いつつ、テオと片付けていく。 「夜は何にしましょうかねぇ」  そう言いながら昼寝を始めてしまったので、テオにこの先の電気屋に行って来ると言って、走って電気屋に行き、目的の物を購入して急いで店に帰ると、テオが準備OKとばかりに席を譲ってくれる。
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