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開始は朝の十時。今の時間は気づけば昼の三時。残り七時間で本当に街に出るのだろうか?
お腹はそれほど空いてないが今は不安の方が大きい。
少し休んでまた歩き、道の良い所は軽く走る江尾繰り返し、やっと街の明かりが見えたのは夜の二十一時半。
「着いたー!」
「よく頑張ったな」
「もう足がパンパンです」
今日は何も食べていないからと、そのまま死神界に連れて行ってくれ、薬草店に入る。
「俺、怪我とかしてないですけど」
「この奥だ。ここでは奥で薬善粥が食べれる。空腹時に重いものはあまりよくない」
ホルンが頼んでくれた薬膳粥をゆっくり食べていると、「一人での山はどうだった?」と聞かれる。
「情けない話ですけど、途中で不安になったり、さみしい感じになりました」
「その感覚は忘れないように。明日からはマルコ様の訓練だからこちらの訓練校の運動場の一部を借りる事になってる。三日人間界に居たから、こちらに来ていても自宅に帰れば大丈夫だろう」
「気になってたんですけど、死神界にずっといるとどうなるんですか?」
「普通は異物扱いになって排除される。君の場合、バッジを持っているからこちらに来ていても問題はない。ただ、空気の質などが違うから、一日一回は人間界で体を休める方がいいんだ」
「だから毎日帰されてたんだ」
「そう言う事。さ、今日は帰ったらお風呂で体をよくほぐすと良い。明日からはきついと思うから」
ホルンに送ってもらい、今度は部屋から訓練校に着くように扉を用意したからと言われ、最後に「ありがとうございました」と言って家に帰る。
「うわぁ、思ったより体バキバキだ」
言われた通りにお風呂で足をもみ穂木しながら湯船に浸かり、腕や腰ももみほぐしていく。
年明けから半年以上運動していないと、やっぱり体は訛るものだなと思いながら、最後に伸びをしてお風呂から出てベッドに横になると、すぐに眠ってしまった。
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