狭間の世界

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「意思を持つ者。その中でも話の出来る者を捕らえ、今マルコが尋問しています。元々黒い集団は死神界で暮らしているものの、どこにも行けなかった者たちの中でも問題を起こすものが闇に〝落ちて〟しまった者たちです。いつ闇に落ちるのかは定かではありませんが、その先導者が弟のルイと妹のミラでした。悠一君を襲った……部屋を荒らしたのも自分たちの生きてる証拠。そのUSBを処分するためにしたことなのでしょうが、この古書堂より悠一君の部屋の方がバレないだろうと隠した僕のミスでした。すいません……」  話的には辻褄は合うのだが、今後については隊長たちで話し合うとのことで、今は体力の温存をしておくようにとのことだった。 「ただいま」 「テオ……臭い」 「第一声がそれかよ!」 「すまん、その隊服洗っておくから」 「母ちゃんかよ!」  プリプリしながらもお風呂に行ったので、アギルにも洗濯物を出してくれと言って洗濯機を回す。  クローゼットから適当に着替えを持って来て籠に入れて戻ると、残りご飯でチャーハンを作るアギル。 「テオ君もまともに食べてませんからねぇ。残った材料で申し訳ないですが野菜大目にしましょうか。悠一君は何か食べました?」 「適当に食べた。何かいるものあったら買ってくるけど」 「大丈夫です。この仕事が終わったら欲しかった材料全部取りに行ってごちそう作りますから」  やっぱりかという思いと、取りに行くメインは俺達なんだろうなと思いながら、止まった洗濯機から洗濯物を取り出し、しわを伸ばして干していく。  高校生初めての夏休みですでに主婦気分!  今まで畳んだものはベッドの上に置いておいたが、テオは閉まっていたものの、アギルは上からとっていく性格まるわかりの二人。  ダイニングに戻ると、勢いよくチャーハンを食べているテオ。  何となく話ずらかったので今日はもう帰ると言うと、「警護は毎日ついてましたけど気づいてました?」と聞かれたので、付いてたのかと言うと、「感覚の方も集中すればわかるようになりますよ」と送り出される。  意識を集中しながら歩き、帰り道にある公園の入り口から三周軽くジョギングをしてから家まで行くが、誰かいるのか感じ取ることは出来なかった。
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