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本当ならば走って行きたいところだが、足がもつれて上手く歩けない。
「止まれ。この木陰から見てるんだ」
「でも!」
「いいから」
少し小高い所にアギルが居て、その後ろにテオが誰かから報告を受け、それをアギルに報告しているように見える……が、普段と違いアギルの顔がどことなく怖い。
「ここから回って総隊長の所まで行けるが」
「行く」
途中でリヒトが何かの武器を使って黒い集団を殲滅しているのが見えたが、他の隊員が周りに居てあまりよくは見えない。
「アギル……」
「マルコ! 連れてきたらダメと言ったはずです!」
「申し訳ありません」
トランシーバーで「第四はルイ・ミラの捕獲。第三、他の者達を殲滅に回れ。第二は第三の補助。第五は漏れたものの殲滅に当たれ」
「総隊長、報告します。我々の来た扉が閉まりかけております。持ってあと数分かと」
「僕が開けるので気にしなくていいです。それより、残りの数は?」
「今まで確認できなかったことなのですが、一体を倒すと分裂してきりがありません」
「……マルコ、悠一君を奥へ。テオ君引き続き戦況の整理を頼みます。戦線へは僕が出ます。リヒトさんに連絡を。中心の第四に合流します」
そう言っていつもの扇子を一振りすると風が吹き、その風に乗ってリヒトの前に降り立つと同時に周りの黒い集団が居なくなる。
「何したんだ?」
「死神の鎌を使ったんだ。まだ扇子のままだけど」
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