#2 懐かしいあの味

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「この近くなので歩きましょうか。空気が美味しいですねぇ」 「なぁ、死神って飯食わないんじゃねーの?魂だけ鎌で狩ってくもんだとばかり思ってたけど」 「そんなことは無いですよ?僕みたいに食事が好きなのもいれば、美容に気を使う者もいる。鉄道好きで、移動は常に鉄道という方もいますし、人に化けてお医者さんや看護士をしてる人もいます。そうすれば魂の回収はスムーズに行きますから」 「回収って?」 「寿命が来たら、然るべき所へお送りするだけです」 へぇ、と思ったがちょっと待て! 美容に気を使う死神って、本来死神は骨だろう!? 骨に美容液塗ってるのか!? これは聞いちゃいけないと思っていたら、「僕の顔、骨に見えますー?」と聞かれ、考えてる事は筒抜けか!と文句を言う。 「今度からは読みません。というより、君、読みにくいんですよ。今回のような疑問はダダ漏れに顔みたら分かりますけどねぇ、なんというか、ちょっと僕にも分かりません」 「あ、そ。んで、アギル……って呼んでいいのか?」 「お好きに」 「アギルの顔は、普通の二十代後半、真っ黒なワカメ髪。ヨレヨレ黒スーツでネクタイなし。身長は180位だと思うんだけど」
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