#1 古本屋

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「あっちぃー」 自販機でドリンクを買い、それを飲みながらダラダラと歩く。 夕方だというのに風もなく、まだまだ日差しは暑いと言うよりも痛い! 何処か休めるところでもないかと影になっている場所を探す。 大通りから一本入った薄暗い場所。 よく見ないと気づかないほどの小さな店舗の看板は、木に『古本』とだけ書かれていて、見つけたとしても誰も中など覗かないような雰囲気を醸し出している。 「気味悪いな……」 それでもお店ということは、冷房のひとつでも掛かって居るだろうと店内に入る。 ムワッとした熱気と、オレンジの蛍光灯で店内は明るいとは言いがたく、真ん中に大きなテーブルがあり、そこにも本が積まれているが、汗は流れ出るばかり。 「いらっしゃーい」 気だるそうな声した方を向くと、本に埋もれたデスクであろう所から、思っていたよりも若い男性が顔を覗かせる。
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