1.全てが必然

4/10
前へ
/114ページ
次へ
   「ありがとう、待ってる。」 「うん。」  罪悪感ももちろんあった。しかし衝動は、止まらなかった。  》 》  居酒屋に着いてすぐに会計を済ませてタクシーに夫を乗せて私は、自宅に連れ帰った。  夫の寝顔を見ながら一夜を明かした。夫の泥酔の原因の名前を知った。寝言で何度も口していたからだ。それ程まで想う相手に捨てられたのだ。傷心だろう。  付け込まない手は、なかった。  いまなら、なんでこんなに追いかけてしまったのかと・・・思う。彼女が夫の心から居なくなってから付き合うべきだった。  愚かな自分をただ嗤う。  《 《 「結婚、しよう・・・叶恋(カレン)。」 「・・・・・・え?」  それは、付き合ってからちょうど1年経った日。“記念日だから”と連れて来られたレストランでこれからデザートが出てくるというタイミングだった。   
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

987人が本棚に入れています
本棚に追加