慎二と神様

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翌朝、見送りに出て来てくれた慎二の叔父にお礼を言い、風も犬なりのお辞儀をしている。 「慎二、休みの時くらいたまには帰ってきなさい。特に盆と正月……」 「手伝わせる気でしょ?」 「バレたか。だが、いつでも帰ってきていいんだぞ?ここもお前の家と同じなんだから」 「分かってるって!」 じゃあねと手を振って車に行く慎二を追いかけ、お辞儀をして荷物を積みながら、「良かったんですか?」と聞くと、いつもの事だから。と言われてしまう。 そうしたら何も言えないので、助手席に乗りシートベルトを締める。 山間部をぬけて、看板を見てみるものの、どこか分からないので車に着いている地図を見ると、横には海。 「海に行くんですか?」 「海が一望できるところ!」 一時間と少し走ったあと、もしかして……と思ったのは慎二の気が少し揺れていたから。 着いた場所は墓地。 「ごめん、せっかくの旅行なのに。でも中々来られないから」 「大丈夫ですよ。私達も行っても構わないんですか?」 「うん」 階段をのぼり、お墓の前に立つと一面の海が見える。 「良い場所にお墓を建てましたね」 「二人とも海が好きだったから。で、花を持ってこなかったのは、絶対にあると思ったから!線香はおじさんに貰ってきたけど」 そっと石に触れると、ちゃんと成仏もしているのが分かり、更にお墓からも慎二を守っているのであろう良い気が感じられる。 「よっこいしょ!」 「え?ええ?」 いきなり何をしたのかと思えば、真ん中のお骨を入れる場所をずらし、中からなにやら取り出している。 「ちょ、ちょっと……いきなり開けていいのですか?」 確か書物では……と考えていると、「月さん、これみて」と手のひらほどの冊子を渡される。
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