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家に送って貰ってすぐ洗濯をし、宇迦に教えてもらった通りに干していく。
冷凍庫にはまだ沢山食材があったのでご飯だけを炊き、冊子の入ったカバンとお土産を持って神社へと行く。
「お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました。これ、お土産です」
「ありがとうございます」と右近が奥に持っていったので、本殿にでも置いてくるのだろう。
「あの、祠の事なのですが」
「どうなりました?」
「天照様が、宇迦様に祠を渡したので、お祀りするのに必要なものを揃えて志那都比古神様にお渡ししておいたそうです。向こうで場所か決まり次第、志那都比古神様と闇龗神様があとはして下さるそうです」
「そうですか。それで宇迦はどこに?」
そう言っていると、鏡がいきなり光、『宇迦ちゃんは暫くこっちよ。それより……お土産は?』
「あ、こちらが姉上に。この緑の包みが高御様に。この青い包みは素戔嗚尊に」
『弟にまで要らぬわぁぁぁ!またひとつ離れを壊しよって!』
また、うっかりとか、たまたま的に壊してしまったのでしょうか。
困った弟ですと思っていると、『それより、月……。何か持っておるな?』と目線がカバンへ。
取り出して見せるものの、表紙だけでは分からないと言われ、『一度こちらに……あぁダメじゃ!一度戻したら里心というのが着くと猿のが言うておった……』
一瞬でも帰れると思ったのが顔に出てしまったのだろうか?
「姉上、一つ願いが」
『なんじゃ?』
「私の部屋の書物の……」
『アホかぁぁぁ!そんなもの慎二以外に見られてしまったらどうするのじゃ!こちらの字と……』
「姉上!辞書です!辞書!パラッと見たかぎり、かなり古いもののようで、辞書があれば読み解くのにも時間がかかりません。ですので必要なものなのです!もちろん、読み終わったら高天原に返しますし、人の目に触れるよう気をつけます」
『……期限は三日じゃ』
「そんな……無理です」
『日がな一日書物しか読んでおらんかったくせに、そんなペンペラペンの冊子ひとつ三日もあれば充分じゃぁぁ!たまには頭に溜まった知識を使わぬかぁぁぁ』
「は、はいー!」
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