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『遠野・・・大丈夫か・・・?』
「・・・あぁ・・・」
電話越しに聞こえる人志の声は 腫れ物に触るように静かだった。
「遺書は・・・?」
『スマホのメモに 複数の男の人と関係を持ってごめんなさいって・・・・・・クラスでも大混乱だよ。まさか一ノ瀬さんがこんなことしてたなんて・・・』
「そうか・・・」
『なぁ・・・お前今何処にいるんだ?本当に大丈夫かっ・・・?』
「家にいるから大丈夫だって・・・」
『今日お前んち寄るから・・・』
「あぁ・・・」
焦りを隠せない人志の声はまだ続いていたようだが、俺は一方的に電話を切った。
時計の秒針だけが響く昼下がりの部屋の中で 俺はぼうっと壁を見つめる。
後悔はしていない。
俺は最後の最後で彼女に隠し続けた思いを伝えられたのだから。
俺は
一ノ瀬里帆が大嫌いだ。
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