みることができなくなったもの

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みることができなくなったもの

 さてさてさーて、成人式の前撮りの時にたくさんかけてもらった”かわい い”の魔法だが、今ではすっかり溶けてしまったようだ。最近ではまた私の心 が荒れ始めている。  私の周りでは某ウイルスによる自粛ムードが少し薄れており、特に私と同世 代や私より若い人々が街へと繰り出している。ひとりひっそりと暮らす生活に 誰かが勧誘する、まあ嬉しくもありめんどくささもあるがこればかりは仕方な い。正直なことを言うと、少し寂しさを感じていたので友人に会えるのは嬉し い。いつもどおり矛盾ばかりだが、私も一応人間なので…許してほしい。  私は今大学生で田舎に住んでいる。もちろん近くにショッピングモールやら ゲームセンターやらは存在しない。個人的には都会のキラキラ感は苦手で、穏 やかに暮らせる今の住処を気に入ってはいる。しかしそれでも私は嫉妬してし まうのだ、キラキラ輝く彼女たちに。    インスタグラムに日々投稿される知り合いのキラキラした生活。可愛らしく 着飾り撮ったプリクラや、見たことのない宝石のように綺麗なスイーツの盛り 合わせ。少し前までは平然と見ていられたのに今は違う。逆に彼女たちと共に キラキラした場所に行って、写真を撮りたいかと聞かれればNOと答えるだろ う。というか、なんでわざわざ投稿なんかするのかわからない。例えば恋人と の惚気写真なんか、別れれば消去してしまうのだから意味がないじゃないか。 はい、来ました矛盾ポイント。自分自身何がしたいのかわからない。ただわか っているのは、私にインスタグラムは向いていないということだ。  とりあえずだが、私は自分にたくさんお金をかけて、自分を大切にしようと 決めた。今日なんか、5000円分もの服やバックを通販で注文した。私はかな りの貧乏性で、服なんか1000円超えれば買うかどうか悩んでしまうぐらい だ。そう思えばかなりの出費だろう。今度新しく発売するアイシャドウも買お うと思う。いつもは無難なブラウン系だが、勇気をだしてピンク系にも挑戦し てみる。”かわいい”の呪文なしでも勇気が持てるようになることが私の目標で ある。    
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