彼女は100万円あげたいらしい

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―― !! 祝いの手紙〈デスレター〉!! あなたは祝われました。祝いをとくには1週間以内に3回いいことをしなければならない。さもなければ絶望的な不辛があななをおそいます。 (イニシャルがYの人にいいこととすれば1回で2回の効果があります) ―― 「お金がもらえるとみんな喜ぶでしょ? だからいいことだと思って」  ……何からツッコめばいいのか。とりあえず字が汚くて読みにくい。 「まさか、こんなの信じちゃったの?」  おい、とお付きが言うのを無視して、あたしは「祝いの手紙」をビリッと破いた。 「リサ」 「だいじょーぶ。これ書いたのたぶんヤマグチ達だから。この間そんな話ではしゃいでたんだよね」  地味にイニシャルYだけ特別扱いだし。昨日ヤマグチにちょっとだけ同情したことを後悔する。  あたしはもう一度ため息をついた。 「大体いいことって、もっと簡単なやつがいっぱいあるでしょうに。電車で席譲るとか……教室の鉢植えのお世話するとか」 「そっか。そういうのでいいんだ」  イタズラがバレた子どもみたいに、お嬢様はクスクスと軽やかに笑った。  こうして彼女の不思議行動は止まったのだった。  放課後、お付きがヤマグチをきつく締め上げたのは言うまでもない。  
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