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「100万円あげる」
「そんな大金受け取れないって」
「100万円いらない?」
「何? 俺にヤバい仕事でもさせる気?」
「100万円プレゼントしてもいい?」
「えっと……マユちゃん、それって私のことお金で……? ご、ごめん、女の子同士なのに無理だよぉ」
次の日も、あたし(とお付きの彼)はマユがクラスメイト達に100万円をあげようとする現場にこっそりついていって、失敗シーンを見学することになった。最後の子に至っては何かとんでもない勘違いをされた気が。……勘違いなんだよね?
本当に、どうしてあのお嬢様は急にこんなことを始めたのだろう。
あ。
「分かった。もしかしてショトク隠しってやつかも。マユのお父さんが稼いじゃいけないところで稼いで……何かそんな感じの」
「いくらリサさんでも、旦那様への暴言は聞き流せないな」
あたしが友達と話しているところに、突然、シリアスなトーンの声が割り込んできた。例のお付きだってことは振り向かなくても分かる。
「言ってみただけだって。それより付き人さん。盗み聞きもいいけど、あれはほっといていいの?」
教室の後ろのドアから、お嬢様が男子2人と出て行くところだった。
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